CM関節症

BLOG, 手の障害 2025年01月09日

本日は親指の障害シリーズの最後に母指CM関節炎(CM関節症)のお話となります。

母指CM関節ってどこ?

画像の赤い位置が母指CM関節となります。

どんな時に痛いの?

蓋を開ける動作やつまみの動作で痛みを生じます。

近年ではスマートフォンの片手操作により痛みを訴えられることがかなり多くなりました。

CM関節症の検査

CM関節を指で押さえた時に痛みがあるか、下図の母指内転伸展テストがあります。

原因

基本的にはオーバーユース(使いすぎ)が原因となります。

女性の場合はホルモンの影響も大きく、閉経が起こることで女性ホルモンの分泌量が減り関節が脆くなりやすくなります。

そのためCM関節症に限らず関節の障害は女性に多く起こりやすいです。

近年はスマートフォンが普及し、スマートフォンを片手で操作する時間が増えたためCM関節症が増加しています。

治療

主に整形外科や整骨院、整体院で治療を行うと思います。それぞれの治療法は以下となります。

整形外科

薬物療法(消炎鎮痛剤)

ステロイド注射

手術

整骨院

温熱や電気治療を使った保存療法。

患部マッサージ、ストレッチや運動療法、症状によってはテーピング固定など。

放置は要注意

安静のみで軽快する方もいるのですが、主に利き手で起こり、親指は生活するうえで多く使用するためなかなか良くならなことが多いです。

痛みや違和感のある状態で使用し続けることで下写真のような関節の変形も起こってきます。

関節の変形と同時に親指を動かす筋肉が短くなることで親指の形が変形(スワンネック変形)をきたします。

そこまで変形が進むと手術でしか改善ができないため、早期からの治療が必要となります。

最後に

普段は気づきにくいですが、親指に痛みや動きにくさがあると生活の質がぐっと下がります。

早期から治療を行うことで変形は予防できますし、日常的につきまとう痛みや不快感も軽減できます。

小さい関節ですが大きな影響を及ぼす関節なので大事にしてください。

ド・ケルバン病とは

BLOG, 手の障害 2024年12月05日

今回は親指におこる腱鞘炎であるド・ケルバン病について説明していきます。

症状

親指を動かしたり、力を入れたりしたときに画像の部分に痛みがでます。

女性に多く、特に妊娠中等産後の時期と、50~60代の閉経後に最も多くなります。

元々道具(包丁やハサミなど)を使う機会が多い方に多いのですが、近年はスマートフォンの片手操作により幅広い年代で痛みを訴えられるようになってしまいました。

原因

画像内ピンク色の親指を動かす腱が青色の腱鞘とこすれることで炎症が起き痛みが出現します。

ドケルバン病のチェック方法

フィンケルスタインテスト

  1. 親指を握りこんでグーを作る
  2. そのまま手首を小指側に曲げる
  3. 親指側の手首周囲に痛みが出たらドケルバン病の疑い

ドケルバン病の治療方法

①保存療法

整形外科や整骨院で行う治療法で、状態にもよりますが大多数はこちらの治療法になります。

整形外科では湿布薬や注射による投薬治療となり、整骨院ではマッサージや電気治療、温熱療法など  を行い、テーピング等で局所安静を図ります。

②手術

日常生活に大きく支障をきたす重症例や、繰り返し発症する場合は手術で腱鞘を切って中を拡げる手術となります。

ドケルバン病の対処法

まずは局所安静を心がけることが一番になります。しかし、特に利き手の親指を使わずに仕事や生活をするのは非常に難しいです。

そのため、大きく負担のかかるスマートフォンの片手操作を避けたり、温めたり親指の付け根をマッサージすることで回復を図ります。

親指の障害は治りにくい

親指を使わずに生活することはほぼ不可能ですので、こういった障害は放置しても治りにくいのが現状です。

特にホルモンバランスの乱れによる腱がもろくなった状態は場合によっては手が使えないぐらいの痛みになることもあります。

そのために早い段階での治療開始が最も予後が良いため、早めの受診をお勧めします。

指の腱鞘炎

BLOG, 手の障害 2024年11月13日

前回は手の親指に出る痛みの疾患の概要を説明しましたが、今回は手の腱鞘炎について詳しく説明をしていきます。

腱鞘炎とは

指の使い過ぎやホルモンバランスにより指を動かす筋肉の腱がこすれたりすることによって腫れて、腱を包む鞘との部分で炎症が起きることで痛みが発生します。

どの指でも起こり得ますが、特に親指や中指に多く起こります。

親指に多い腱鞘炎

前回の投稿にもあるように親指は大きく動く代わりに関節の安定性が低くなっています。

大きくいろんな方向に動くということは、親指を動かす筋肉も多くいろんな方向に存在します。

その中でも親指の外側の付け根に起こる腱鞘炎を「ド・ケルバン病」といいます。

このド・ケルバン病は次回詳しくご説明します。

ばね指とは

腱鞘炎により指の腱が腫れることで腱鞘のトンネルを通る時に引っ掛かり、指を曲げ伸ばしをするときにカクっと感触がしたり、指が完全に伸びきらなくなったりします。

腱鞘炎の対処法

基本的にはまず局所安静が第一になります。指を動かすことで腱がこすれて炎症を起こすので、動かさないことが最も炎症を起こさせない対策となります。

加えて次の画像のような前腕のストレッチを行うことも効果的となります。

それでも痛むときは

腱鞘炎は指を使いすぎることで起こりますが,日常生活を送るうえで指を使わずに過ごすことは非常に難しいです。

そのため痛みが続く場合は整形外科や整骨院での治療を行います。

整形外科ではレントゲンなどの画像診断を行い、投薬や必要なら注射、さらには外科手術を行います。

整骨院では指の筋肉の硬さやバランスを整えて、電気治療やマッサージ、ストレッチを行い炎症が起きないように施術を行います。

いずれも放置して悪化をさせないように早めに相談してみて下さい。

親指の痛み

BLOG, 手の障害 2024年10月17日

人間と猿との大きな違いの一つに手の構造が挙げられます。

人は手の構造がより複雑であり、特に親指が大きく可動することでつまむ動作ができることにより緻密な作業が行えます。

親指が自由に動くことで細かい作業ができる代わりに複雑な構造になることで様々な障害が起こってしまいます。

親指の障害の種類

・腱鞘炎

・ド・ケルバン病

・CM関節症

・手根管症候群

・頚椎症

など

それぞれの特徴

腱鞘炎

親指に限った話ではないのですが、指を動かす筋肉が腱となり骨に付きます。その腱は腱鞘で覆われているのですが、腱と腱鞘がこすれたりすることで炎症が起きます。

腱が腫れたりすることで腱鞘を通る時に引っ掛かったりすることで指がばねのように曲げ伸ばしされるばね指という障害にもなります。

ド・ケルバン病

上の画像は親指を反らす動きをする筋肉なのですが、画像の青い部分で起こる腱鞘炎をド・ケルバン病といいます。

CM関節症

CM関節症は上画像の赤くなっている部分の関節が痛む障害です。

親指が大きく動かせるのはCM関節のおかげであり、自由な動きができるかわりに不安定で障害が出やすくなります。

主に親指を各方向に曲げた時や画像にあるように力を入れた時に痛みが出現します。

手根管症候群

こちらは手首の手のひら側を通る正中神経が横手根靱帯(屈筋支帯)と手首の骨(手根骨)のなすトンネルで圧迫される障害です。

画像にあるように緑色の部分にしびれ感や親指の付け根(母指球)の筋肉の萎縮がみられます。

頚椎症

こちらは首の背骨の障害で、神経の圧迫があった時に肩や腕、指などのしびれや痛みを引き起こします。

天井を見上げたりする動作で痛みやしびれが強くなりやすく、中年以降に起こりやすいとされていますが、デスクワークやスマホの普及により若年層にも多くみられます。

終わりに

以上がざっとですが親指に痛みをきたす障害となります。

冒頭でも述べたように親指の構造は自由な代わりに不安定です。

親指の痛みがあることで多くの場面で生活や仕事に支障をきたしかねません。

局所安静が上手にできればよいですが生活をするうえで親指の安静は難しいので、痛くなったときは専門家の治療を受けましょう。

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