脊椎動物である我々には背骨があり、それぞれ頚椎、胸椎、腰椎と仙骨、尾骨で脊柱を構成しています。
こちらが前と横から見た背骨の形です。レントゲンを撮られたことがある方はこのような形に近いものを見たことがあるのではまいでしょうか。
この背骨には大きな役割が2つあり「頭部、体幹の支持と運動」「脊髄などの保護」です。
頭部、体幹の支持と運動
地球で生きている限り人の身体はほとんどの時間重力を受けながら生活しています。
背骨が無ければ重力に負けて頭は落下し、胴体はつぶれてしまいます。背骨が体を支えてくれているからこそ皆さんは座ったり立ったりできているわけです。
さらに腰を曲げる、反らすや首を左右に振るなどのあらゆる動きは何個もの背骨が共同で動くことにより各方向へ自由に動けるようになり、複雑な動きを可能にしております。ロボットの動きがぎこちないのは脊柱動物ほどに細かくたくさんの骨で運動を制御できていないからです。
脊髄などの保護
人間の最高指令室である脳から脊髄を通り指や手足に神経が分布することで皆さんは手足を動かすことが出来ています。脳は硬い頭蓋骨で全周おおわれて保護されています。その脳から出た神経細胞の集合は脊髄となり背骨を通り手足へと神経を伸ばしいきます。
脊髄は背骨の中の脊柱管という管の中を通るのですが、その周囲は背骨で囲まれており外からの刺激が基本的には加わらないように保護されています。
これが脊髄などの保護作用で皆さんの身体が正常に痛みや関節の位置感覚を感じる感覚神経や、手足を動かす運動神経、皮膚や臓器にも繋がり微調整を行う自律神経が遮断されないようにしているわけです。
背骨の運動
背骨はざっくり分けて首、胸、腰と3パートに分かれます。
実は背骨はそのパートによって得意な動きと苦手な動きがあります。頚椎(首のパートの背骨)に関しては各方向に一番大きく動く部分となります。今回は腰痛やスポーツのパフォーマンスに直結してくる胸椎と腰椎の動きについてフォーカスします。
胸椎の運動
得意な運動 回旋(体を左右に捻る)
苦手な運動 屈曲(体を前に倒す)
腰椎の運動
得意な運動 屈曲(体を前に倒す)
苦手な運動 回旋(体を左右に捻る)
このように胸椎と腰椎はそれぞれ得意な運動と苦手な運動が反対になります。
この関係性が腰痛やスポーツのパフォーマンスに対して深く影響していきます。
こちらの写真は腰痛のあるバレー部の胸椎回旋角度になるのですが、一目瞭然で下の画像の方が可動域が狭いのが分かると思います。
腰痛やパフォーマンスとの関係
腰痛の患者ではありますが、腰痛があるためにこれだけ差があるのではなくて、これだけ左右差があるために腰痛になったと考えられます。
本来なら体を捻るのに胸椎部分が働くのに対して、胸椎の動きが悪いため腰でひねり動作を出さなければならず、腰椎は回旋動作の苦手な関節のため負担が増えて腰痛が出るわけです。
さらにスポーツのパフォーマンスでいうと、右手でスパイクを打とうとしたときに打つ前のテイクバックで振りかぶれるものの、打った後のフォロースルーでは十分に体が捻れないため、肩や腰の負担が非常に大きくなりますし、しっかり振りきれないためにスパイクのパワーは下がり、体幹部での微妙なコントロールもしにくくなるため、パフォーマンスとしても明らかに足を引っ張っている部分です。
結論
このように回旋が得意な胸椎の動きが悪くなることで、腰痛が出たり、多くのスポーツでは体の回旋動作が必要なため、十分な動きが出来なくなり、本来ならもっと高いはずのパフォーマンスが下がった状態となってしまいますので、回旋動作というのが非常に重要な動作だということが分かるはずです。
当院インスタグラムにトレーニングやストレッチなどの動画も載せてありますので詳しくはそちらを参考にしていただけたらと思います。